私を見ている人達を無視して、ミス・桃山女学院のプリンセスを抱えて歩く。
お姫様抱っこしたまま、舞台から舞い降りた。
私が歩けば、みんながよける。
道を開けてくれたので、背筋を伸ばして進んだ。
ますみちゃんみたいなモデル歩き。
途中、伊織さんが乗っていたはずの車がないことに気づく。
目だけで屋上を見れば、目くらましで使った光のライトもなくなっていた。
(うまく彼らも、逃げたのね・・・)
ヤマトも無事に脱出できたかしら?
そんな思いで、私も正門を出ようと進んでいたのだが。
バウンウウン!
「あ。」
その時だった。
正門へと向かっていた私の目に、美しいシルエットが映る。
(私のバリオス!!)
道のど真ん中で、愛車のバイクにまたがっている人を見て二度びっくりした。
(瑞希お兄ちゃん!?)
黒子ファイルのファッションをした1号さん。
目が合えば、にっこりと笑われた。
それで吸い込まれるように彼の元へと進んだ。
「みずー!?」
「1号だろう?」
目の前まで来た時、小声でささやかれた。
「1号さん。」
慌てて言い直せば、彼はもう一度微笑んでからバイクから降りる。
キーがささったままのバリオス。
(乗れと言う意味?)
そんな思いで、無言で単車にまたがる。
ますみちゃんをお姫様抱っこしたまま、修理を終えた愛車に乗った。
バウーン、バウウウーン!
エンジンをかけたところで、やっと周りの人達が騒ぎ出す。
「あ、ど、どこ行くんだ!?」
最初に動いたのはますみちゃんのお姉さん。
舞台から数歩、よろめくように歩きながら叫ぶ。
「凛道蓮!ますみをどうする気だ!?」
そう言いながら、こっちへ近寄ろうとしたので笑顔で答えた。
「ご想像にお任せします。」
ファンファンファンファン!
「凛道ぉぉぉぉぉ!!」
パトカーのサイレンと、聞き覚えのある罵声。
「バラさんだな。」
「岩倉って言うのが運転してますね。」
遠めでもわかるなじみの声と顔。
それを確認してから、はすみさんへと顔を向けながら叫んだ。


