彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)





こんなにたくさんいるのに、みんな何も言わない。

言えないし、言おうともしない。

完全に、【凛道蓮】に圧倒さえていた。






「俺の言ってることは、おかしいか?」






静寂の中で、ポツリと蓮君が問いかける。





「文句がある奴は出て来い。この場で名乗り出ろ。俺の言ったことが、どうおかしいか、ここまで来て説明しろ。」





とても静かな声。

だけど、誰も応えないし、動こうともしない。

表情は様々だけど、答える様子はない。





「まぁ・・・言いたくねぇーって意見もあるかもしれねぇから、もう聞かねぇ。聞きたくもねぇ。けど、これだけは言っておく。」





これに蓮君は目を細めながら、面倒くさそうにつぶやく。





「片淵と蛇の目と、共犯の馬鹿男と女共!!!」

「っ!?」

「ひっ!?」

「きゃ!?」





突然上がった大声に、名指しされた者も、名指しされなかった者も叫ぶ。

ますみもびっくりして、息を飲んだ。

でも、怖くなかった。

だって、彼が言って話の内容が―――――――






「次、ますみを泣かしてみろ!!そん時は俺がテメーらを1人ずつぶっ飛ばす!!社会的に、抹殺する・・・!」

「蓮君。」






ますみを【守る】ための呪文だったから。






「ますみは女だ!!正真正銘、どこに出しても恥ずかしくない女性・一之瀬ますみだ!!肩書もなんも関係ねぇ!俺の目から見てもかわしい女の子だ!!」

「蓮君・・・・!」






あんなにひどいことを言ったのに。

言わなかったますみが悪いってわかってたのに、蓮君のせいにしてしまったのに。

八つ当たりをして、心配する彼の気持ちを踏みにじったのに。






(体がコンプレックスなますみのように、蓮君も顔がコンプレックスだってわかってたのに―――――)






嫌われて当たり前のことをしたのに、蓮君は!






「本人が女って言うんだから、それが一番の真実だ!!今度、男だとぬかしやがったらこの俺が許さん!!覚えとけっ!!」



ますみを【守る呪文】を発してくれてる・・・・!!





「うっ・・・あ・・・ああああああああああああああああ!!」





ますみの中で何かが切れた。

我慢して、強がって、平気でいた何かが壊れた。

涙が止まらなかった。