こんなにたくさんいるのに、みんな何も言わない。
言えないし、言おうともしない。
完全に、【凛道蓮】に圧倒さえていた。
「俺の言ってることは、おかしいか?」
静寂の中で、ポツリと蓮君が問いかける。
「文句がある奴は出て来い。この場で名乗り出ろ。俺の言ったことが、どうおかしいか、ここまで来て説明しろ。」
とても静かな声。
だけど、誰も応えないし、動こうともしない。
表情は様々だけど、答える様子はない。
「まぁ・・・言いたくねぇーって意見もあるかもしれねぇから、もう聞かねぇ。聞きたくもねぇ。けど、これだけは言っておく。」
これに蓮君は目を細めながら、面倒くさそうにつぶやく。
「片淵と蛇の目と、共犯の馬鹿男と女共!!!」
「っ!?」
「ひっ!?」
「きゃ!?」
突然上がった大声に、名指しされた者も、名指しされなかった者も叫ぶ。
ますみもびっくりして、息を飲んだ。
でも、怖くなかった。
だって、彼が言って話の内容が―――――――
「次、ますみを泣かしてみろ!!そん時は俺がテメーらを1人ずつぶっ飛ばす!!社会的に、抹殺する・・・!」
「蓮君。」
ますみを【守る】ための呪文だったから。
「ますみは女だ!!正真正銘、どこに出しても恥ずかしくない女性・一之瀬ますみだ!!肩書もなんも関係ねぇ!俺の目から見てもかわしい女の子だ!!」
「蓮君・・・・!」
あんなにひどいことを言ったのに。
言わなかったますみが悪いってわかってたのに、蓮君のせいにしてしまったのに。
八つ当たりをして、心配する彼の気持ちを踏みにじったのに。
(体がコンプレックスなますみのように、蓮君も顔がコンプレックスだってわかってたのに―――――)
嫌われて当たり前のことをしたのに、蓮君は!
「本人が女って言うんだから、それが一番の真実だ!!今度、男だとぬかしやがったらこの俺が許さん!!覚えとけっ!!」
ますみを【守る呪文】を発してくれてる・・・・!!
「うっ・・・あ・・・ああああああああああああああああ!!」
ますみの中で何かが切れた。
我慢して、強がって、平気でいた何かが壊れた。
涙が止まらなかった。


