彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




「本気で一之瀬ますみに惚れたくせに。」

「え?」

「なっ!?何言ってー!?」




驚く私同様に、セイヤもギョッとする。

そんなセイヤが何か言う前に、蓮君は言った。




「片淵セイヤ、お前の気持ちはわかってる。『俺の理想の一之瀬ますみが、俺が思ってた女と違う。恋人の一之瀬ますみが、こんなはずない。こんなの現実は違う。』・・・認めたくないみてぇだけど、そう思ってるのが伝わってきてるぞ?」

「やめろっ!!!」




そこで、セイヤの表情が引きつる。

顔色も青くなる。

静かになって行く観客たち。

無音に近い状態になったところで、蓮君がため息をつく。

セイヤを見つめたまま、静かに語る。




「好きなら好きでいいじゃねぇか。まともな社会も、ヤンキー社会も、お前の気持ちをおかしいと判断するかもしれねぇ。けど、俺はそうは思わない。お前がした仕返しは間違ってるが、お前のますみへの気持ちは間違ってない。」

「り・・・んど・・・・!?」

「皮肉だが・・・・お前はますみと同じことを考えちまったんだな。」

「ふざけるな!!」




怒鳴り声が真横で怒る。




「お、お姉ちゃん!」

「て、てめぇ!凛道蓮!なんて言った!?」




目を血走らせたお姉ちゃんが、蓮君に近づく。




「ま・・・ますみと、そのクズが同じだと!?同じだって言いやがるのかっ!!?」

「そうですよ、はすみお姉さん。」




お姉ちゃんの質問に、悪びれることなく、淡々と蓮君は言った。




「その馬鹿がバラしたから言うけど、俺の腕の中のお姫様は、どこにでもいるお姫様じゃない。心と体の違いで苦しんでいる女の子だ。」

「蓮君!?」

「人が見たら、気持ち悪いだ、おかしいだ、差別になる対象だ。人と違うだけで、差別されるカテゴリーにいる。いじめられちまう立場にある。だから、あんたら差別してる側に聞きたい。」




どこを見てるかわからない眼で、会場を見渡すと彼は言った。




「ひどいって意味で、自分だけ、人と違う扱いをされても平気か?」



マイクを通して伝わる冷たい殺気。



「いじめる立場だから、気にならねぇ、勝ち組だからって思ってるかもしれねぇ。そう考えてんだったら、そのままいりゃいい。無理に考え変えて下さいって思わねぇ。その代わりー!」



マスクを・・・シルキロールをしてるはずなのに。

蓮君が笑った気がした。

笑ったと思った時、楽しそうな声で彼は告げていた。