〈凛ちゃん、1人ずつ蛇の目を締め上げてる時間はないわ!〉
「それじゃあー!?」
〈作戦Fに入るわ!いいわね、れーちゃん?皇助にはあたしから連絡するから!〉
「りょーかい♪じゃ、あとでな、凛たん?」
「烈司さん!」
「それから、舞台の周りが怖い設計になってること、モニカに伝えてくれる?俺があれに気づいたのも、凛たんたちが来る直前。運営側が、ギリギリまでのサプライズだったみてぇ~」
「怖い設計?」
「じゃあなぁ~」
そう言うと、音もなく私から離れて人ごみに消えるヘビースモーカー。
(なんのことだろう?)
首をかしげつつも、烈司さんの言葉通り、舞台を見る。
じっと見つめて、あれ?と思う。
カラフルなシートで覆ってごまかしているけど―――――――――
「モニカちゃん、大変です!」
目に映った光景を見てゾッとした。
〈どうしたの!?〉
「舞台の周りを水で囲まれてます。」
〈なんですって!?〉
聞いていた話と違う不規則の事態。
耳をすませば、かすかに聞こえてくる水の流れる音。
〈やられた!あたし達の裏をかいてくれたわねぇ~〉
「ヤバいですよ、これじゃあー!」
(バルブガンの水を防げたとしても、周りの水の中に突き落とされたら―――――!?)
舞台から階段一つ分下がった場所に登場した滝のオブジェ。
そこから流れている水。
水たまりのようなものだけど、転んだら間違いなく―――――
「さらされちゃうじゃない!?」
共犯は、モデルの中にもいる。
「凛!ここにおったかいな!」
「ヤマト!?」
そこへ、土だらけのクマが飛び込んでくる。
「そこで宗方はんに、おうて、聞いたで!!えらいこっちゃやでぇ~!舞台の周りが水で囲われてるやん!?」
「わかってます、ヤマト!モニカちゃん!」
〈そうね。〉
私の言葉で、彼女も察してくれた。
「予定通り、作戦Fを実行しましょう!」
〈もちろんよ!4代目総長ちゃん!〉
あとは、時間との勝負。
(絶対に、ますみちゃんは私が守る!)
それが彼女への罪滅ぼしだから。


