彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




12時40分。

最後の着がえを終えて、確認のためのリハーサル説明を受けた後だった。





「ますみ。」

「お姉ちゃん。」





1つ上のはずみお姉ちゃんが様子を見に来てくれた。





「やっぱり、ますみが一番可愛いよぉ~」

「きゃ!ちょっとー!」





周りに他の子もいるのに、そう言いながらハグするお姉ちゃん。

うちが仲良し姉妹だと知っているので、みんな気にすることはない。

微笑ましそうに見てくれているけど・・・





「どうしたの、ますみ?」

「・・・なんでもないよ?」





私の気持ちは浮かない。

それを私は知っている。






「あいつか?」





間違えた。


わかってるのは、私だけじゃない。

昔から、一番近くで応援してくれていた姉は、妹である私の変化に敏感だった。





「なんのこと?」

「誤魔化すな。ますみは何も心配しなくていい。」






私の毛先を触りながら、優しい声でお姉ちゃんは言う。




「大丈夫だ、はすみ。夏休みは、どいつもこいつもはじける時期だ。お姉ちゃんに任せとけばいい。」

「蓮君も・・・他の奴と同じだったんだね。」




この数日、考えないように、口に出さないようにしてきた人の名前。




「もう忘れな。」




私のその一言で、お姉ちゃんから笑みが消える。
それも構わずに、私はしゃべり続けた。





「蓮君、今のますみを見ても可愛いと言うのかな?」

「ますみ、凛道蓮の話はやめな。」

「そうだね。やっぱり、あいつも今までの奴らと同じだよね。・・・ますみを異常者扱いして、差別して、気持ち悪がって―――――」




―ますみちゃん。―




戸惑いながらも、親切にしてくれていたけど、けっきょくは――――――







「嘘つきで、嫌な男。」






きっと、最初からますみが女の体じゃないって知ってたんだ。

そうじゃなきゃ、女の子のますみの告白を断るはずないもん!



〔★彼女は自信にあふれている★〕