12時40分。
最後の着がえを終えて、確認のためのリハーサル説明を受けた後だった。
「ますみ。」
「お姉ちゃん。」
1つ上のはずみお姉ちゃんが様子を見に来てくれた。
「やっぱり、ますみが一番可愛いよぉ~」
「きゃ!ちょっとー!」
周りに他の子もいるのに、そう言いながらハグするお姉ちゃん。
うちが仲良し姉妹だと知っているので、みんな気にすることはない。
微笑ましそうに見てくれているけど・・・
「どうしたの、ますみ?」
「・・・なんでもないよ?」
私の気持ちは浮かない。
それを私は知っている。
「あいつか?」
間違えた。
わかってるのは、私だけじゃない。
昔から、一番近くで応援してくれていた姉は、妹である私の変化に敏感だった。
「なんのこと?」
「誤魔化すな。ますみは何も心配しなくていい。」
私の毛先を触りながら、優しい声でお姉ちゃんは言う。
「大丈夫だ、はすみ。夏休みは、どいつもこいつもはじける時期だ。お姉ちゃんに任せとけばいい。」
「蓮君も・・・他の奴と同じだったんだね。」
この数日、考えないように、口に出さないようにしてきた人の名前。
「もう忘れな。」
私のその一言で、お姉ちゃんから笑みが消える。
それも構わずに、私はしゃべり続けた。
「蓮君、今のますみを見ても可愛いと言うのかな?」
「ますみ、凛道蓮の話はやめな。」
「そうだね。やっぱり、あいつも今までの奴らと同じだよね。・・・ますみを異常者扱いして、差別して、気持ち悪がって―――――」
―ますみちゃん。―
戸惑いながらも、親切にしてくれていたけど、けっきょくは――――――
「嘘つきで、嫌な男。」
きっと、最初からますみが女の体じゃないって知ってたんだ。
そうじゃなきゃ、女の子のますみの告白を断るはずないもん!
〔★彼女は自信にあふれている★〕


