瑞希お兄ちゃんが最高なのは間違いないけど、今はそのことを、たたえてる場合じゃない。
「僕、瑞希お兄ちゃんに迷惑をかけたんですか?」
今回ばかりは、かばわれて、甘えるわけにはいかない。
「何度も言わせるな。そんなことはない。」
「だったら、教えて下さい。僕は、何をしたんですか?」
ジッと彼を見つめながら聞く。
それに応えるように、瑞希お兄ちゃんも私を見つめ返す。
つかの間の沈黙。
私のお願いに、私を見たまま瑞希お兄ちゃんは口を開けた。
「凛、お前、ますみちゃんが写真抱えて泣きながら逃げて行った後、まったく覚えてないのか?」
「はい・・・」
「どこまでなら、覚えてるんだ?」
「覚えているのは・・・・・僕がますみちゃんを、引き止めることも、何もできずに立ち尽くしていて・・・」
「そっから先は、まったくわからないのか?ここに戻ってきたのは、わかってるんだよな?」
「ええ・・・瑞希お兄ちゃん達の話す声が聞こえて、目が覚めて・・・・」
「ますみちゃんが、いなくなった後、なにをしたかも思い出せないのか?」
「すみません・・・すぐに思いだせるのは、それぐらいで・・・・・あとは夢を見てるみたいに意識がフワフワしていて・・・」
「マジかよ、凛!?お前がキレたら、そういう心境になんの!?あたしらの呼びかけも記憶に残ってませんてか!?」
「カンナさん?」
「やめろ、高千穂!あとは俺が話すから。」
「だけど、真田先輩!」
「話すって、なにをですか?」
「凛の記憶がフワフワした時のこと。」
そう言った瑞希お兄ちゃんの顔を見て、心臓がドクンとなる。
息切れのような、呼吸が苦しくなるような感覚。
同時に、両手の拳安値などが、ジンジンしてきた。
身体から伝わってきた痛みで理解する。
「僕・・・・・・・なにかしたんですね?」
血の気が引く。
組み手をした後よりも、強く感じるコブシの痛み。
殴り合いの喧嘩でもしてなきゃ、こんな風には・・・!?
(覚えているんだ・・・記憶はなくても・・・体の方が――――――――!?)
そんな私に瑞希お兄ちゃんは静かに告げる。


