「だいじょーぶ♪この辺りはあたしのテリトリーよ!ヘマしないわ。」
「モニカさんの車、日本に5台しかないでしょう!?」
「凛ちゃんが見られなければいいのよ!みーちゃん、上手に演技してね!?気分が悪くなって眠ってる子供を、介抱してる保護者のようにね!?」
「わかったから、安全運転しろよモニカ!」
「オッケー!それじゃあ、高千穂ちゃん!あとでね?」
「オス!凛を頼みます!」
そんなやり取りが頭に流れてきた。
聞き覚えのあるバイクの音がする。
車が発信する振動が伝わる。
それらを瑞希お兄ちゃんの膝の上で感じる。
瑞希お兄ちゃんは、私の頭を自分の膝に乗せていた。
膝枕をされているのだとわかった。
いつもなら嬉しいはずなのに――――――
(嬉しくない。)
「凛、わかるか?お兄ちゃんがわかるか?」
「モニカちゃんは~!?」
「わからない・・・・」
彼らの問いかけじゃなく、今の自分の状況が。
「わからない・・・わかりません・・・どうして、僕・・・・!?」
目元が熱くなる。
(私、泣いてるの?)
なんで?
どうして、鉄さびのにおいがするの?
(どうして、瑞希お兄ちゃん達が現れて・・・どうして・・・・?)
「・・・・・・ついたら起こす。眠れ。」
優しい声と一緒に、視界が暗くなる。
瑞希お兄ちゃんの掌が、私の視界を覆ったのがわかった。
「僕・・・・なにをして・・・?」
「・・・いいから眠るんだ・・・」
頭をなでられる感触。
つらい、悲しい、ひどい。
そう言った気がする。
なにがあったか、思い出すよりも先に睡魔が襲う。
瑞希お兄ちゃんのにおいが私に安心を与える。
遠くで響くサイレンの音を子守唄に、眠りの世界へと落ちた。


