彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




「ちょっと!まだ凛ちゃんをとめられてないの!?」

「馬鹿野郎!今とめたところなんだよ!凛、手を離せ!」

「手?」

「お前がつかんでる馬鹿から、さっさと離せ!!」

「僕がつかんでる・・・・馬鹿?」






言われて、視線を動かす。

何かを持っている。

私は何かを掴んでいる。

何かを・・・・







「なにこれ?」







手から伝わる生ぬるい感触。



マネキン?


頭から赤いペンキを被った人形?








「なんで僕、こんなマネキン持ってるの?」

「っ――――――――人間だ、馬鹿野郎!!」







耳元で怒鳴られ、それが瑞希お兄ちゃんの声だと思った時には、彼の肩に担がれていた。






「くそっ!のぞきもしてみるもんだぜ!高千穂、行くぞ!」

「けっ!凛のことしゃべったら、とどめ刺しに行くからな!ミミズ野郎!!」






瑞希お兄ちゃんに担がれた状態で見たカンナさんは、コンクリートの地面に崩れ落ちた人形に中指を立てながら怒鳴っていた。

乱暴にドアが開く音。

続けざまに階段を駆け下りる足音と、荒い呼吸が耳に届く。

目に映るすべてが、スローモーションに見える。






「こっちよ、みーちゃん!」






その声に合わせて体が瑞希お兄ちゃんから離れる。

モニカちゃんの真っ赤なオープンカーに、投げ込まれる。

そんな私の隣に、瑞希お兄ちゃんが乗り込む。

そして、着ていた上着を私の体にかける。

隠すようにかぶせると、私のお尻を、腰回りを触り始める。





「あった!」





そう言って私の単車のキーを手にする瑞希お兄ちゃん。

それを車から少し離れた場所にいる人に投げた。






「高千穂、頼んだぞ!」

「任せて下さい!先輩らこそ、検問にはご注意を!」






キーをキャッチしながらカンナさんが言えば、運転席のモニカちゃんが笑う。