「知ってほしくないこともあるって思わないの?」
誤魔化そう。
「え?」
「ますみちゃんは、自分が知って満足できればいいって思ってるんですか?逆に、好きな人だからこそ知られたくないって考える人がいること・・・わからないのかな?」
相手は女子力高くてやっかいだけど、これ以上好かれる前に何とかしよう。
「あ・・・・・・ち、違うよ!ますみは、ただ・・・」
「ますみちゃんを責めてるわけじゃないよ。僕のマスクはファッションだから。」
「嘘!顔を見られるのが嫌なんじゃないの?」
「金がないから、飲み物だけにしてるんだよ。」
「だったら、ストロー使わないで飲んでくれる?」
「なっ!?」
そう言うなり、私のグラスからストローを抜き取る。
「やめろっ!」
反射的に叫ぶ。
「やっぱりそうじゃない。」
きつく言えば、顔をしかめるミス・桃山女学院の美少女。
「隠さなくていいよ。誰にだって、ヒミツあるもんね。」
「ますみちゃん・・・」
「見せてくれるなら、返してあげてもいいよ?」
「すみませーん!新しいストローくださーい!」
「って、あっさり諦めないでよ!もっとますみに、かまってもいいんじゃない!?」
「じゃあ、お金を置いて、このまま引き上げてもいいですか?」
「それはもっとだめっ!返すから!ストロー返すから!あ、店員さん!新しいストローいりません!」
せっかく持ってきてくれたストローを断り、奪ったストローを返しながら言うますみちゃん。
「蓮君!パーツ的には可愛いんだから、絶対に口元のマスク取った方が良いよ!隠すことないと思う!」
「そういう予測は天気だけにして下さい。見た目の問題じゃない。」
「なんで?自分の顔が嫌いなの?」
「そうです。」
真顔で聞くますみちゃんに、無表情で、彼女の目を見ながら言った。
「僕はね、自分の顔が好きじゃない。この状態が一番好きなんだ。」
「蓮君。」
「僕はこの状態でいることに不自由していない。人に見せるほど、もったいぶってないし、見せたところで、見たところで何も変わらないんだよ?」
瞬きしないでそこまで言う。
演技する。


