彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)



多少低い声になったけど、こちらの申し出に応じてくれた涼子ちゃん。



「うん!お願い!『僕は、カンナさんのこと本当に大事だと思ってる!だから、仲間はずれみたいにして、ごめんなさい』って・・・伝えてもらえたら・・・」

「凛君は・・・高千穂さんのこと好きなの?」

「好きだよ。初めてできた友達だから。」

「え?」

「もちろん、涼子ちゃんも好きだよ。僕が凛道蓮ってわかっても・・・こうやって話してくれるじゃない?」

「そっ・・・それは・・・凛君が、噂とは違う優しい人だから・・・」

「本当に!?違うって信じてくれてるの!?」

「信じてます。凛君、天然なだけで一般人だと思うから・・・」

「涼子ちゃん!」



嬉しくて抱きしめる。

ギューとハグする私に、彼女は抵抗しない。



「・・・・え?きゃ!?ええ!?」

「ありがとう、涼子ちゃん!僕、涼子ちゃんのこと大好きだよ!」

「あ、え、あの!」

「涼子ちゃんは?」



夏の日差しで赤くなっている彼女に、期待を込めて聞いてみる。






「僕のこと、好き?」

「わ・・・私・・・」

「僕は涼子ちゃんが大好きだよ。涼子ちゃんは、僕のこと好きですか?」

「・・・あ・・・」





腕の中の友達が、私を見たまましゃべらなくなる。

それで嫌な予感がする。





「・・・・え?もしかして・・・あんまり好きじゃないけど、気を使ってくれてる・・・?」


「そんなことない!!」


「涼子ちゃん?」

「ご、ごめんなさい、大きな声を出して・・・!でも、私、地味だし、凛君と一緒にいるのも・・・おかしいかもしれないし・・・」

「おかしくないよ!僕はそのままの涼子ちゃんが好きなんだ。でも涼子ちゃんが、ヤンキーが嫌いなら・・・しかたないけど。」

「ヤンキーは、嫌い。」

「え!?」

「だけど!・・・・凛君は、嫌いじゃないよ・・・!私も、凛君のこと好きだから・・・」

「よかった!じゃあ、僕も涼子ちゃんも両思いの友達だね!?」

「りょ!?え!?友!?あ、う、うん!」

「本当にありがとう、涼子ちゃん!カンナさんへの伝言だけど・・・話しかけにくかったら、無理しなくていいから。今日、涼子ちゃんに会えただけでも十分だから。」

「凛君・・・!」

「本当にありがとう!」



最後に、思いっきり抱きしめてから離す。






「じゃあまたね、涼子ちゃーん!」





手を振って、引き上げようとしたら――――







「待って!!」






ガバッ!



「え!?」

「凛君!」



突然、抱き付かれた。

あまりにも、勢いをつけて飛びついてきたのでびっくりした。