多少低い声になったけど、こちらの申し出に応じてくれた涼子ちゃん。
「うん!お願い!『僕は、カンナさんのこと本当に大事だと思ってる!だから、仲間はずれみたいにして、ごめんなさい』って・・・伝えてもらえたら・・・」
「凛君は・・・高千穂さんのこと好きなの?」
「好きだよ。初めてできた友達だから。」
「え?」
「もちろん、涼子ちゃんも好きだよ。僕が凛道蓮ってわかっても・・・こうやって話してくれるじゃない?」
「そっ・・・それは・・・凛君が、噂とは違う優しい人だから・・・」
「本当に!?違うって信じてくれてるの!?」
「信じてます。凛君、天然なだけで一般人だと思うから・・・」
「涼子ちゃん!」
嬉しくて抱きしめる。
ギューとハグする私に、彼女は抵抗しない。
「・・・・え?きゃ!?ええ!?」
「ありがとう、涼子ちゃん!僕、涼子ちゃんのこと大好きだよ!」
「あ、え、あの!」
「涼子ちゃんは?」
夏の日差しで赤くなっている彼女に、期待を込めて聞いてみる。
「僕のこと、好き?」
「わ・・・私・・・」
「僕は涼子ちゃんが大好きだよ。涼子ちゃんは、僕のこと好きですか?」
「・・・あ・・・」
腕の中の友達が、私を見たまましゃべらなくなる。
それで嫌な予感がする。
「・・・・え?もしかして・・・あんまり好きじゃないけど、気を使ってくれてる・・・?」
「そんなことない!!」
「涼子ちゃん?」
「ご、ごめんなさい、大きな声を出して・・・!でも、私、地味だし、凛君と一緒にいるのも・・・おかしいかもしれないし・・・」
「おかしくないよ!僕はそのままの涼子ちゃんが好きなんだ。でも涼子ちゃんが、ヤンキーが嫌いなら・・・しかたないけど。」
「ヤンキーは、嫌い。」
「え!?」
「だけど!・・・・凛君は、嫌いじゃないよ・・・!私も、凛君のこと好きだから・・・」
「よかった!じゃあ、僕も涼子ちゃんも両思いの友達だね!?」
「りょ!?え!?友!?あ、う、うん!」
「本当にありがとう、涼子ちゃん!カンナさんへの伝言だけど・・・話しかけにくかったら、無理しなくていいから。今日、涼子ちゃんに会えただけでも十分だから。」
「凛君・・・!」
「本当にありがとう!」
最後に、思いっきり抱きしめてから離す。
「じゃあまたね、涼子ちゃーん!」
手を振って、引き上げようとしたら――――
「待って!!」
ガバッ!
「え!?」
「凛君!」
突然、抱き付かれた。
あまりにも、勢いをつけて飛びついてきたのでびっくりした。


