彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)





「久しぶりだね、涼子ちゃん!」

「う、うん・・・凛道君も・・・」

「『凛道君』?」





違和感のある呼び方。

気づいてすぐに訂正を求めた。





「涼子ちゃん、僕のことは『凛』でいいよ?凛道君って呼ぶのは長いし、面倒くさいでしょう?」

「め、めんどうくさい!?凛君って、本当に変わっ・・・あ!」

「どうしたの?」

「な、なんでもないです。」

「え?なんで、しゃべり方まで変わっちゃうの?」




普通にタメ口だったのが、敬語になってしまった。





「涼子ちゃん、普通に、前みたいに話してください。」

「でも・・・・」





視線を泳がせ、気まずそうにする涼子ちゃん。

それで嫌な予感がする。





「もしかして・・・・僕の悪い噂を聞いて、嫌になっちゃったんですか・・・?」





あり得そうな可能性を口にするが――――――





「違います!そんな噂に騙されません!」

「涼子ちゃん。」





きつく否定される。

ホッとしたけど、不安は消えない。


「よかった。それなら、動じて急に他人行儀になったんです?」

「あ、それは・・・」




口ごもった後で、おずおずと彼女は言う。





「・・・だって、私があなたを馴れ馴れしく呼ぶのは・・・よくないかと思って。」


(なにそれ??)





よくわからないけど、遠慮してるってこと?




(そんな心配しなくていいよ、涼子ちゃん!)




「そんなことないよ!涼子ちゃんに凛君って呼ばれない方が、僕の気持ちが良くないよ!」


(友達が減ったみたいでいや!!)





「だから!」

ガシッ!

「きゃっ!?」





彼女の両肩へ両手を置きながら真顔で伝えた。





「今まで通り、『凛君』って呼んでよ!僕本人が、良いって言ってるんだから。」

「でも・・・」

「僕は、涼子ちゃんに『凛君』って呼ばれるのが嬉しいんです。」

「凛君・・・」

「そうそう!それでなきゃ!よろしくね、涼子ちゃん?」

「・・・うん。ありがとう、凛君。」





呼び方が元に戻ったところで、ホッとする。