ヤマトのおかげで、早々(はやばや)と凛道蓮になれた。
彼のバイクの後ろで風を切る。
運転している関西男は、いつもの調子で言う。
「カンナはん、いればええけどなぁ~」
「いなかったら、カンナさんがいそうな場所に行きましょう!」
「うははは!それもそうやなぁ~で!?カンナはんが行きそうな場所ってどこや!?」
「え!?知らないんですか!?」
「ほえー!?自分の方が付き合い長いやーん!?」
「そうだけど!カンナさんがいる場所って・・・・」
「どないやねん、凛!?」
「フェリチータでしか会わないから・・・心当たりは・・・」
「心当たりは!?爆裂弾のたまり場はー!?」
「たまり場・・・・」
(あるのかな?)
爆裂弾だけしてた頃は、別に拠点があったはず。
いや、今もあると思うけど―――――――――――
「・・・・どこかは知りません・・・・。」
「かああああああ!マジかい!?」
「ええ・・・」
元々、聞いてもいなかった。
それになによりも。
(なんとなくだけど・・・・)
「たまり場には、いない気がするんです・・・」
「なんでや~!?」
「ヤマトも聞いたでしょう?円城寺君達の顔を見たくないって・・・だから・・・」
「なるほど!そりゃあ、1人でブラブラするのぉー!」
そう確認し合う間に、バイクは目的地へと迫る。
ヤマトと東山高校についたころ、校舎から出てくる生徒はまばらだった。
「帰ってもうたかのぉー!?」
「東山高校も、テストが始まってますよね?」
「それで、さっさとバックレたものぉ~」
「いえ、それでしたら、図書館にいる可能性もありますので。」
「うはははは!ヤンキーが図書館で勉強するかぁー?」
「僕はしますけど?」
「自分は特別や。」
「一応、4代目総長ですからねぇー」
そう言って、ヤマトの単車の後ろから降りた時だった。
「凛君?」
「え?」
名前を呼ばれた。
振り返って、小さく叫んだ。
「涼子ちゃん!!」
「やっぱり・・・凛道君だ。」
そこにいたのは、円城寺君にお弁当を届けた際に知り合った東山高校の1年生女子。
カンナさんと円城寺君と同じ1年4組所属の小林涼子ちゃんだった。


