彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




ヤマトのおかげで、早々(はやばや)と凛道蓮になれた。

彼のバイクの後ろで風を切る。

運転している関西男は、いつもの調子で言う。




「カンナはん、いればええけどなぁ~」

「いなかったら、カンナさんがいそうな場所に行きましょう!」

「うははは!それもそうやなぁ~で!?カンナはんが行きそうな場所ってどこや!?」

「え!?知らないんですか!?」

「ほえー!?自分の方が付き合い長いやーん!?」

「そうだけど!カンナさんがいる場所って・・・・」

「どないやねん、凛!?」

「フェリチータでしか会わないから・・・心当たりは・・・」

「心当たりは!?爆裂弾のたまり場はー!?」

「たまり場・・・・」



(あるのかな?)




爆裂弾だけしてた頃は、別に拠点があったはず。

いや、今もあると思うけど―――――――――――






「・・・・どこかは知りません・・・・。」

「かああああああ!マジかい!?」

「ええ・・・」




元々、聞いてもいなかった。

それになによりも。




(なんとなくだけど・・・・)





「たまり場には、いない気がするんです・・・」

「なんでや~!?」

「ヤマトも聞いたでしょう?円城寺君達の顔を見たくないって・・・だから・・・」

「なるほど!そりゃあ、1人でブラブラするのぉー!」



そう確認し合う間に、バイクは目的地へと迫る。

ヤマトと東山高校についたころ、校舎から出てくる生徒はまばらだった。




「帰ってもうたかのぉー!?」

「東山高校も、テストが始まってますよね?」

「それで、さっさとバックレたものぉ~」

「いえ、それでしたら、図書館にいる可能性もありますので。」

「うはははは!ヤンキーが図書館で勉強するかぁー?」

「僕はしますけど?」

「自分は特別や。」

「一応、4代目総長ですからねぇー」





そう言って、ヤマトの単車の後ろから降りた時だった。







「凛君?」

「え?」






名前を呼ばれた。

振り返って、小さく叫んだ。







「涼子ちゃん!!」

「やっぱり・・・凛道君だ。」





そこにいたのは、円城寺君にお弁当を届けた際に知り合った東山高校の1年生女子。

カンナさんと円城寺君と同じ1年4組所属の小林涼子ちゃんだった。