彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




「カ、カンナ、このアマ、よくも・・・!?」

「あ~ん?真田先輩の前で、文句言える立場か、クソ大河・・・!」

「ぐ!?ぐぐぐぐぅ~~~~!!」



ペッとツバを吐き、私達全員をさげすむ目で見るカンナさん。

同時に、何も言えなくてうめく円城寺君が気の毒になる。


彼を含めた他の面々に関しても・・・



(私は顔だけだからよかったけど、みんなはお腹に一撃受けてるよね・・・・)



あれは間違いなく、みぞおちに入ってるとわかった。

ケンカ慣れしてるカンナさんだけあって、大の男を真っ青にする殴り方を心得ていた。




「蓮君!大丈夫!?」




そうやって、仲間のダメージを分析していたら声がした。



「しっかりして!蓮君!」

「ま、ますみちゃん・・・」



上体を起こすのに合わせて、私の前に座り込むますみちゃん。



「ああ、ほっぺに手形が!なんてひどいことを・・・・!」



涙目で、カンナさんに叩かれた頬に触れながら叫ぶと叩いた人を見ながら言った。



「あなた誰!?ますみの蓮君になんてことするのよ!?」

「ああ!?誰が『ますみの蓮君』だ!?」



途端に、カンナさんの不機嫌度が上がる。




「誰が誰のもんだっつった!?」

「そーよ、凛ちゃんはモニカちゃんの~」

「モニカ先輩は黙っててください!!」

「え!?は、はい・・・!」



モニカちゃん相手に、カンナさんには珍しくきつめの発言をする。

驚いて返事するモニカちゃんを無視して、カンナさんはますみちゃんを怒鳴る。



「テメーこそ、なんなんだ!?マスだか、カスだか知らねぇが、うちの頭をそそのかしやがってよぉ~!?」

「ますみよ、一之瀬、ま・す・み!桃山女学院の1年生です!」

「けっ!尻山の女かよ!?」

「ちょっと!失礼よ、あんた!ますみは、うちのミス桃山プリンセスなんだから!」

「せやせや!美女コンテストの高校1年生の部と、高等部の部でナンバー1をダブル受賞したんだやで!?」

「なんだとぉ~!?」

「え!?ダブル受賞だったんですか?」




初耳情報を聞き返せば、上目遣いでますみちゃんが微笑む。