「これでよぉ~し♪キッチリしばって固定したから、1人でも逃げようとしても無駄よ~ん!」
「あ・・・朝ちゃん、ありがとう・・・。」
「いいのよ、シロ君!あとは、お店の男の子達のお仕事よ!きっちり事務室に半ドアで監禁するのよぉ~?」
「はい!」
「任せて下さい。」
「絶対逃がしません!」
「ち、ちくしょう・・・!」
まるで時代劇の役人みたいに、片淵セイヤ達を引っ立てる男性スタッフ。
悪人みたいに縛り上げられた片淵セイヤ達は、連なって連れていかれる姿をあわれに思う。
その後ろを、シロ君と呼ばれたチーフさんと女性スタッフ達が続く。
「ごめんな、瑞希君。巻き込んじゃって・・・」
「気にしなくていいっすよ。」
「その上で悪いんだけど・・・ますみちゃん達のお迎えが来るまで、彼女達を見ててもらっていいかな?連絡はこちらでするから。」
「任せて下さい。それよりも早く医者に。」
「ありがとう。ますみちゃんもごめんね?」
「ますみ達はいいよ!悪いのはますみで・・・白神さん、ごめんなさい・・・お大事に・・・」
「気にしないで、ありがとう。」
(良い人だな・・・)
自分も負傷しているのに、この気遣い。
接客業に向いてる色男だと思う。
部屋には、桃山女学院の生徒と龍星軍メンバーが残された。
「こいつらはこれでいいとして・・・凛」
「はい!」
低い声が私を呼ぶ。
「こりゃあ、どういうことだ?」
「え?」
そう言った目は、聞いていた話と違うじゃないかと言わんばかりだった。
「あ!?・・・あの・・・それは・・・!」
怒る瑞希お兄ちゃんも素敵だけど、そんなこと思ってる場合じゃない。
彼が何に怒っているのか、気づき、ヤバいと思う。


