彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




貸しきりの合コン会場は、静まり返っていた。






「はっちゃけてくれたなーお前ら?」





そう言ったのは、部屋の中央に置かれた椅子の上に座っているお方。





「元カノ相手に、ストーカーとはいい根性だなぁ~蛇の目君よ?」

「瑞希お兄ちゃん・・・・」





この世で一番、ストーカー被害を憎んでいるであろう愛しの君。





「凛。オメーヘマしたのは自覚してるな?」

「あ・・・すみません。逃がすべきではなかったと・・・」





その横に立ち、お側に控えている私。

正面にいるのは、さっき追い払って瑞希お兄ちゃんが連れ戻してきた蛇の目の残党。

さらにその後ろには、円城寺君達がガンたれていて、さらに後ろにはますみちゃん達桃山女学院女子がいる。

出入り口には、モニカちゃん&カンナさん+チーフをはじめとしたスタッフさん数人がいた。





「何で逃がしちゃダメだったと思う?」

「え?えーと・・・」





瑞希お兄ちゃんに見つめられ・・・いや、にらまれて照れてしまう。

これにお兄ちゃんはため息交じりで言った。





「白神さん、怪我は?」

「あ、大丈夫です。」





冷たい目の瑞希お兄ちゃんが、スタッフに支えられているチーフさんを見る。

それに遠慮がちに平気だと言ったら、瑞希お兄ちゃんが大きくため息をついた。





「そんなわきゃねぇでしょう?腹に一発食らったんなら、レントゲンとって精密検査受けるのが筋ですよ。」

「瑞希君。」

「みーちゃんの言う通りよ!今は痛くなくても、あとで調子が悪くなることもあるの!」

「モニカちゃん。」





言われてみればそうだ。

交通事故でよくあるパターン。

ぶつかっただけで、血は出てなかったからと放置して・・・実は大ごとになったという話は学校の交通教室で聞いたことがある。






(あ!これが瑞希お兄ちゃんの言ったヘマ!?)


「わかりました!怪我した相手を逃がしたら、治療費の請求が出来ないから・・・!?」


「やっとわかったのかよ?愚弟が。」

「愚・・・・!?」





目だけで私を見ると、視線を前へと戻す瑞希お兄ちゃん。





(ああ・・・!瑞希お兄ちゃんにさげすんだ目で見られた!)




愚弟とか言われ、怒らわれてるわけだけど!




(その目も素敵です・・・・!!)



〔★凛にダメージはなかった★〕