チャラ男から、福沢諭吉さん3人をもらおうとした男に聞いた。
「あなた、店員さんですか?」
「そういう君は、未成年だよね?悪いけど、うちの店には入れられないよ?」
「入らないのでいいです。お名前は?」
「はあ?なんで言わなきゃダメなの?プライバシーの侵害でしょう?」
「キャッチのくせに、名乗れないのか?」
(ますます怪しい。黒だわ・・・)
さっきまでにこやかにしていた顔が、けわしくなる。
「坊やさ、夜のお店に興味あるのはわかるけど、そういうのは成人してからで~」
「お店の名前は?」
「はあ?だから、案内できないって言ってるでしょう?」
「お店の名前を言いなさい。」
キャッチを見据えたまま、もう一度聞く。
これに相手は、舌打ちしてから言った。
「君さー日本語わからないの?未成年は、夜のお店には入れないんだよ!」
「ちーちゃん、この人はどこのお店の人?店名聞いてるよね?」
「おい!なに勝手にー」
「えーと、『ムーラン』だよ!スタッフは日本人のみで、今日はミニスカデーだって~!」
「って、あんたも教えるなよ!?」
「はいはい。『ムーラン』だね?」
「そうともー♪」
「ちょ、なに勝手に教えてんですか!?」
「えー?久保君てば、さっきまで思いっきり連発してたじゃん??チョコたんだけ、仲間外れにするのは良くないよー?」
「はいはい、名前は『久保』君ね。」
「だからっ!俺の名前も勝手に教えない!」
〔★個人情報もへったくれもない★〕
聞く手間がはぶけたと思いながら、茶髪のツッコミをスルーする。
そしてポケットに入れていた携帯を取り出す。
「あれ?チョコたん、どこへお電話―??」
「『ムーラン』です。」
「やめろっ!!」
私の言葉に、過剰に反応する久保君。
手にした携帯を奪い取ろうとしたので、一歩下がって逃げる。
「どうかしましたか、久保君?」
「ふざけるな!何する気だ!?」
「なにも?」
つかみかかろうとする相手と、距離を取りながら告げる。


