声のした方を見れば、2人の若い男がいた。
「あの人・・・・!?」
1人は茶髪にスーツを着た男性。
もう一人は―――――――――
「ウェイウェイウェイ~♪」
「タカ&トモさんと一緒にいた子!」
にぎやかな黒髪の男子だった。
2人が立っているのは、キャバクラの看板が並んでいる場所。
(こんなところで、なにしてるんだろう・・・・・・)
目をこらしてみれば、彼の腕にあるべきものがない。
(執行部の腕章がない・・・?今、休憩中なのかな?)
だからといって、こんな不健全な場所で休憩するのもどうだろう。
気づけば、そっと2人に近づいていた。
同時に、聞えてきた会話に、私の心臓は嫌な動きをした。
「お兄さんを通せば、割引がきくってマジすかー!?」
「もちろんだって!俺、お店の専属のスタッフだから、安くできるんだよ~!」
「助かるぅー!俺、タカさんとトモさんにお礼したくてさぁー!金欠だったから、ミラクルラッキー系なぁ~!」
「それいいね!じゃあ、さらにサービスするよ!3名様だから、お一人様2万にしてあげるよ!」
「えっ!?半額にしてもらっていいのー?」
「君の優しさに心打たれてね~本当なら6万するけど、3万でいいよ。その代わり、今この場で前金として、俺に3万円払ってくれる?」
「ウェイウェイ!先払い的な意味っすね~?」
「そうそう、先払い。じゃあ、3万渡してくれるかな?」
そこまで聞いて、あれ?と思う。
(ちょっと待って!この話、どこかで―――――――――)
”自分は店の者だと名乗っているが、実際は無関係。ありもしない割引を実行するために、自分へ金を払えと言う性質の悪い者だ。”
獅子島さんの言葉がよみがえる。
頭の中のピースがかみ合う。
「詐欺だ。」
言葉にした時、目の前で、取引が成立しかけていた。


