甘いシロップの入ったカップを持って移動する。
(執行部があるテントは、こっちでよかったよね・・・?)
キョロキョロしながら、たくさんの屋台を見渡す。
タカさんのいるのは、執行部のテントだった。
事前にもらった地図を頼りに、目的地へと向かった。
甘くないのを飲んじゃう前に、早く渡さないといけないという気持ちもあったけど、
(瑞希お兄ちゃん・・・・すごく怒ってたな。)
好きな人のご機嫌のことばかり、気になっていた。
(渕上達に軽い仕返しするはずが、逆に瑞希お兄ちゃんからん好感度を下げてしまうなんて・・・・)
いじめっ子だったとはいえ、しっかり拒絶できなかった。
瑞希お兄ちゃんに損失を与えただけでなく、嫌な役をさせちゃった。
そんな自分が恥ずかしかった。
(情けない・・・・)
「帰るのが憂鬱・・・・帰りにくいよ・・・」
とはいえ、私はここに遊びに来たわけじゃない。
まだ、夜店は終わっていない。
「早く渡して帰ろう・・・・」
そして、もう一度謝ろう。
つき返したお金の分だけ、働いて取り戻そう。
(とはいえ、こんなに人が多いと道に迷いそう・・・)
位置を確認しようと、地図を取り出す。
人の流れの中で立ち止まれないので、人混みから外れた路地に移動する。
近くの路地へと足を踏み入れる。
「やだぁ~きゃははは!」
「良い子いますよ、社長!」
「もう一件だ、次行くぞ!」
(あ・・・・この辺は、飲み屋街(のみやがい)なんだ。)
健全な盛り上がりとは違った意味で、そちらもにぎやかだった。
お祭りのせいで、余計に華やかだ。
(まぁ、私には関係ないけどねー)
そう思いながら、現在地を確認している時だった。
「マジすか!?」
「マジだよ。」
「ん?」
大きな声がした。
酔っ払いもいるので、騒がしいぐらいなら私も気にしない。
(あれ?この声は―――――――)
聞き覚えがあったので、思わず耳をかたむけた。


