彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




「瑞希、しつけはそれぐらいにしておけ。」

「伊織。」

「・・・・獅子島さん。」



暗い気持ちは、獅子島さんの一言で心の奥底へと沈む。

負の感情にフタをしたところで、メガネの先輩が瑞希お兄ちゃんに聞いた。




「ところで、瑞希。タカオが頼んだのはなんだ?」

「アイスコーヒーだけど?」

「お前、シロップを2つつけたのか?」

「ああ、セルフサービスだけどな。」

「では、ここに置いてあるのは忘れものだな。」

「あ!?」



指さす方を見れば、置き去りにされていた。



「あいつ、甘党だと言っていたな。苦いのを飲むことになるのだろう。」

「馬鹿言うなよ!やべ~届けたやらねぇと・・・」

「ならば凛道に行かせればいい。瑞希お兄ちゃんに怒られたからという理由で、辛気臭い顔で店先に立たれては困る。」

「そ、そんなことないです!ちゃん、笑顔で対応を~」

「できねぇよ。」

「瑞希お兄ちゃん。」

「できてねぇから、伊織が言ってるんだろう。」



言い返せなくて固まる。



「商売はお手伝いじゃない。これから人も少なくなる。2人でも十分だ。」

「そんな!?」

「3人もいらねぇーから、行って来い、凛。ちゃんと、渡して来いよ?」

「あ・・・」




私に、忘れ物を押し付けながらきつい口調で言う。



「い、いってきます・・・」




そっぽを向かれ、しぼり出しながらしゃべる。

いたたまれなくて、逃げるようにその場から離れた。

これ以上、不機嫌な彼を見たくない。

怒らせたくない。





(怒らせるつもりは、なかったのに・・・)



目だけで、チラッと彼の方へを見る。

その時にはもう、お客さんの相手をしていた。

私が好きな笑顔で、女性客と話していた。






(瑞希お兄ちゃんの馬鹿・・・・!)





私の本心も知らないで。

手にした2つのシロップをにぎり、私は人混みの中へと進んだ。