彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)





私から渕上への言葉は、周囲には聞こえなかったと思う。





「あーん、るのあ、ご馳走様~」

「チョー感謝っす、るのあ様~!」

「恩に着まーす!」

「めっちゃ美味しいね、これ!」





取りまきの反応を、瑞希お兄ちゃん特性のドリンクを美味しそうに飲んでいる様子を見る限り、それはないと思えた。





「あーあ、カフェオレは美味いけど、人間が最悪だったぜ。」

「最後まで、あざとかったよな、あのガキ?」

「なにが、『ありがとうございました~♪』だよ。」

「ケッ!さっさと行こうぜ。」




(文句あるなら、二度と来るな。)




女達はともかく、男共の反応にイラッとする。

とはいえ、買う物を買ったので引き上げていく。






(やれやれ、これで渕上という悪魔も消え去る。)






私を見つめる女は、もう私をニラんでいない。

その反応に、仕返しはされないと判断する。



彼氏である飯塚が、私をガン見してたけど、無視無視!


どうせ、渕上なしじゃ、威張れない顔だけのイケメンだもん。







(はあぁ~やっと片付いた・・・・!)






ホッとしながら、お口直しで瑞希お兄ちゃんを見ようとしたのだが―――――――





ガシッ!!


「へ?」



「ねぇ、一緒に遊ぼう。」








利き腕をつかまれる。







「あそ・・・?え!?」

「仕事、9時まででしょう?」

「な!?」






そう言って、笑顔で私の腕を掴んできたので驚いた。





(渕上ルノア!?)






「おい、正気か、るのあ!?なに言ってんだよ!?」






飯塚アダムの戸惑いの声が上がる。

なぜなら、私にそう言ってきたのが、あの渕上だったからだ。

私の腕をつかみ、意味不明なことを言っている。





「あ、遊ぼうって・・・ふ・・・お姫様・・・」





危うく渕上と呼びそうになるのを、チョコちゃんモードで修正する。

必死で茶化す。





「あ、あははは!お姫らしく強引だねぇ~?びっくりしつあった♪」


(なぁーんて、びっくりどころじゃないけどね!!)



ヤバいよ、これ。



渕上の言葉が実現しては困る。




必死で、相手に言葉を冗談で済ませるために言った。




「だめですよぉ~僕、仕事中だから遊べないですぅ~」

「お祭り、9時で終わるじゃん?」

「え?」

「バイトなら、9時まででしょう?あ、それとも片づけ込みで10時ぐらい?」




やんわりと断る私に、敵はお構いなしでしゃべり続ける。

ほざきやがる。