瑞希お兄ちゃんが『何』を不快に思ってるのか、すぐにはわからなかった。
考える前に、私の側にいた女がしゃべった。
「いいよ。あたし、金はあるから。あたしとアダムの分は最後でいいから、先にこいつらのオーダーを聞いてやって。」
「ははは!大盤振る舞いだな、お姫様?じゃあ、順番に聞いて行こうかな?」
(受けるんだ、オーダー・・・)
接客モードで答える瑞希お兄ちゃんに、複雑な気分になる。
そんな私の気持ちを知らない愛しい人は・・・仕方ないけど!
私にとって不愉快な連中が、私の方へと押し寄せてきた。
「はいはい!まずは、あたしの注文聞いてぇ~」
「ちょっと、私が先よ!可愛い彼氏~聞いてくれるぅー?」
「おい、俺が先だろう?」
「なによ、レディーファーストでしょう!?ねぇ、可愛い彼氏~?」
「コーヒーの王子様でもイケるよねぇ~!?」
「浮かれすぎだぞ、お前ら~!?」
渕上の言葉を受け、にぎやかにオーダーしてくるいじめっ子達。
「チョコ、ちゃんとおうかがいしろよ?」
「あ・・・はい。」
カフェインを作り始める瑞希お兄ちゃんを見て、慌てて仕事に戻ったのだが――――
「チョコって言うの?」
「え?」
(またお前!?まだ用があるの!?)
メモを取ろうとする私の目の前に、注文を終えた渕上がやってくる。
「名前、『チョコ』って言うの?本名?てか、どんなあだ名?」
(お前に言う義理はない。)
と思ったけど、手荒には出来ないので我慢。
ピエロのように、怒りを茶化す気持ちへと変えながら対応した。
「それがねぇ~動き方がチョコチョコしてるから、『チョコ』って言われてるんだ~でも、安心してください!溶けませんから♪あははは!」
「ぷっ!やだぁ~なにそれ~?」
(お前が『なにそれ!?』だよ!)
私の言葉に、可愛い子ぶって、女の子らしく笑うクソ女。
それは渕上だけじゃなかった。


