「じゃあ、代わりにコーヒー職人さん、一緒に撮ろう♪」
(なに!?)
こともあろうに、瑞希お兄ちゃんへとターゲットを変える女子達。
これに瑞希お兄ちゃんは、営業用スマイルで答える。
「こいつの代用ですか?まぁ、美人の頼みなんで聞いちゃいますけど?」
「えー?自分の方が美人のくせにぃ~」
「はい?」
「あ・・・」
(もしかして、彼女達も・・・)
「「「はい、チーズ!」」」
笑顔で固まった瑞希お兄ちゃんを取り囲むようにし、自撮り棒で撮影を行う女達。
「『お姉さん』、ありがとう~!」
「今度は、坊やも一緒にね~」
「早く写真慣れしてねぇ~ばいばーい!」
「・・・ばいばい・・・」
ご機嫌で去って行くお姉さん達に手を振る。
笑顔で、静止したままの瑞希お兄ちゃんの背後から。
動かない理由がわかっているので、対応の仕方はわかっているが・・・
「お、お兄ちゃん!僕が撮影断ったから、腹いせでからかわれちゃいましたね!?すみません!」
「・・・本気で言ってるのか、凛?」
「そうですよ!ねぇ、獅子島さん!?」
「そんなことあるか、バカたれ。ハンサムウーマンという言葉あるだろう?出来る女に見られたようだな。」
「話をあわせてくださいよ、獅子島さん!?」
「やっぱ、本気で言ってなかったなぁ~凛!?」
「ああ!違います、違います、僕は~!」
「わかってる!けど、やめろよその優しさ!お兄ちゃん、嬉しいけど悲しい!」
「ごめんなさーい!でも、瑞希お兄ちゃんは『カッコいい男』です!」
「凛・・・!お前って奴は、なんて可愛いんだ・・・!ごめんな、気を使わせて・・・!」
「そんな・・・ホントだもん!僕、瑞希お兄ちゃんのこと、本当に男らしいとー」
「ブラコンはそこまでにして、凛道、その服装は動きやすいか?コーヒーマークがプリントされているシルキロール、密集した場所でつけていても熱くないのか?」
「って、伊織―!?」
「このタイミングで、気遣ってくれますか、獅子島さん!?動きやすいですけど!」
「すみませーん!注文したいんですけどー?」
「はい、只今そこにいる小動物が承ります。チョコ、接客だ。瑞希姫は作る用意を。」
「誰が姫だコラッ!?」
「きゃ!?こわ~い!怒鳴られたぁー」
「ああ、すみません!お客様!お客様に怒鳴ったのではなく~」
「そうですとも、お嬢様!どうぞ、こちらへ!僕が貴方の引き立て役(コーヒー)をおうかがいします!持ち歩きますよね!?」
「ぷっ!やだぁ~可愛いこと言うー♪そこまでいうなら、あたしの引き立て役を選んでもらおうかなぁ~?」
機転を利かせ、なんとかお客さんの機嫌を直して引き止められた。
その後も続々と、客足は途切れない。


