「すみません!お姉さんのお店だと聞いたので、てっきり小悪魔なお姉さんが悪いことをしてると~!」
「それならおじさんも、騙されちゃったぁ♪って、ちょっと得した気分の被害者になれたぜ、チョコちゃん?」
「ええ!?会長さんも被害者でしたか!?」
「そういうこと!おじさんがやってるお店でもやられたんだ。」
身近なところにいた被害者に聞けば、ムスッとした顔で会長は答えてくれた。
「うちの従業員じゃない奴が、うちの店の者だって語って、お客さんから金をだまし取ってから、うちに送り込んでくれてんだよなぁ~」
「ひどいですね!?被害にあったお客さんは、犯人について何と言ってるんですか?」
「っ!そ、それがなぁ~」
「どうしました??」
「覚えとらんのだ。」
「獅子島さん!?」
「伊織君!」
そう言ったのは眼鏡の先輩。
「連中がカモにしてるのは、酒を飲み過ぎている者ばかりだ。酔い過ぎているせいで、顔を覚えてないんだ。」
「そうなんですか、会長さん!?」
「そーなんだよっ!!そこ狙って、金をだまし取ってやがるんだ・・・!うちも被害者だが、懐を痛めてる分、お客さんが一番の被害者なんだよなぁ~今のところ、全員泣き寝入りで・・・・ホント、困ってんだよな~」
「知能犯ですね・・・」
「そうだ。悪知恵が働きすぎてんだよ・・・!」
「瑞希お兄ちゃん。」
呆れながら言えば、むすっとした顔で私の愛しい人が言う。
「凛は子供だから、声をかけられることはねぇと思うけど・・・声をかけられてる大人を見かけたら、俺に通報しろよ?」
「心得ましたぁ!」
「そうだぜ!おじちゃんにも教えてくれよ!飛んできて、やっつけてやるからな!?」
「流石会長。おじいさんの見た目に反して、おじさんのような行動力。あと、その小動物は意外と凶暴なのでご心配なく。」
「はあ!?言うことと冗談がきついなぁ~伊織君!?チョコちゃんが危険だなんてとんでもない!」
とんでもないのか・・・
〔★それが凛のイメージだった★〕


