力を抜いて、ゆっくり瑞希お兄ちゃんの体に座り直す。
お尻が、浴室の底につくようにして、瑞希お兄ちゃんへともたれかかる。
腰のあたりに異物を感じたけど、そのままくっついた。
(私はなにもわからない、わからない、わからない・・・!)
暗示をかけながら。
〔★凛は意識してスルーした★〕
「あんまり気にするなよ、凛?」
「は?」
そんな私に、のん気な彼が言う。
「体中の毛が薄いのは今だけだからさ。」
「え?」
「え?それがわかるのが嫌だから、俺にくっつきたくなかったんじゃないのか?」
「あ!?あ、はい、そ、そうです!」
(そうきたか・・・!!)
真実を知らない好きな人は、優しい声で励ましてくれた。
「凛もそのうち・・・はえてくる。俺も、凛ぐらいの時、体のつくりがコンプレックスだったからさ。わかるぜ、その気持ち。」
(わかってない。)
いや、わかっちゃっても困るんだけどね・・・
「にしても~入浴剤だけでも、だいぶ違うなー?あー温泉行きてぇ!」
「そうですね・・・」
「今度行くか?海水浴ついでに?」
「い、いいですね・・・というか、瑞希お兄ちゃんの手・・・」
ほんわかした顔で語る彼の手が、お湯の中に戻った瑞希お兄ちゃんの手が私の足の上に置かれた。
「あ?俺の手がどうかした?」
「あ・・・う・・・なんでもないです・・・」
言おうとしてやめる。
(これ以上何か言って、話を長引かせたら、私がのぼせてしまう・・・!)
ただでさえ、結構長湯になってる。
100数えるところ、1000回は数え終わってるぐらいに。
「とりあえず、烈司達の休みと合わせていくか?ツーリングもいいよなぁ~」
ご機嫌で語る背もたれに、私は耳まで温もっていた。
(この状況・・・ピンチだけど、ラッキーなのよね・・・?)
順番から言えば、違う気がするけど、好きな人のすべてを見てしまった。
(綺麗な体だった・・・昔、お父さんとお風呂に入ったことはあるけど、月とスッポンぐらい差がありすぎた・・・!)
〔★凛はスッポンポンだ★〕


