彼は高嶺のヤンキー様3(元ヤン)




力を抜いて、ゆっくり瑞希お兄ちゃんの体に座り直す。

お尻が、浴室の底につくようにして、瑞希お兄ちゃんへともたれかかる。

腰のあたりに異物を感じたけど、そのままくっついた。


(私はなにもわからない、わからない、わからない・・・!)


暗示をかけながら。




〔★凛は意識してスルーした★〕






「あんまり気にするなよ、凛?」

「は?」





そんな私に、のん気な彼が言う。




「体中の毛が薄いのは今だけだからさ。」

「え?」

「え?それがわかるのが嫌だから、俺にくっつきたくなかったんじゃないのか?」

「あ!?あ、はい、そ、そうです!」

(そうきたか・・・!!)




真実を知らない好きな人は、優しい声で励ましてくれた。



「凛もそのうち・・・はえてくる。俺も、凛ぐらいの時、体のつくりがコンプレックスだったからさ。わかるぜ、その気持ち。」

(わかってない。)


いや、わかっちゃっても困るんだけどね・・・



「にしても~入浴剤だけでも、だいぶ違うなー?あー温泉行きてぇ!」

「そうですね・・・」

「今度行くか?海水浴ついでに?」

「い、いいですね・・・というか、瑞希お兄ちゃんの手・・・」



ほんわかした顔で語る彼の手が、お湯の中に戻った瑞希お兄ちゃんの手が私の足の上に置かれた。





「あ?俺の手がどうかした?」

「あ・・・う・・・なんでもないです・・・」




言おうとしてやめる。





(これ以上何か言って、話を長引かせたら、私がのぼせてしまう・・・!)





ただでさえ、結構長湯になってる。

100数えるところ、1000回は数え終わってるぐらいに。



「とりあえず、烈司達の休みと合わせていくか?ツーリングもいいよなぁ~」



ご機嫌で語る背もたれに、私は耳まで温もっていた。



(この状況・・・ピンチだけど、ラッキーなのよね・・・?)



順番から言えば、違う気がするけど、好きな人のすべてを見てしまった。



(綺麗な体だった・・・昔、お父さんとお風呂に入ったことはあるけど、月とスッポンぐらい差がありすぎた・・・!)



〔★凛はスッポンポンだ★〕