「凛、頭からびしょぬれじゃねぇか~!?」
「瑞希お兄ちゃんだって、良い男になってますよー?」
「水もしたたるいい男ってか?つーか、これお湯だろう?」
「そーでした!」
「あっはっはっはっ!」
「えへへへ!」
浴室に響く笑い声。
それが収まった頃、瑞希お兄ちゃんが言った。
「はぁ~あ!凛のおかげで、童心(どうしん)に帰れたってかー?」
「僕もです。」
「お前、子供じゃんか?」
「そこまで子供じゃないです!」
そう言ったら、ほっぺに何かがふれた。
「あ・・・」
「子供だろう?ずぶぬれじゃんか?」
ニコニコしながら、彼が私の顔をタオルで拭いていた。
「凛のおかげで、俺、頭洗わなくていいなぁ~」
「だ、だめですよ!シャンプーつけて下さい・・・!」
「あははは!冗談だって。」
そう言いながら、私の顔をふいてくれていたタオルで、引き続き、私の頭をふき始める。
「ぼ、僕も、瑞希お兄ちゃんをタオルでふき・・・」
「気にすんな。それに凛のタオルは、ぐっしょりだろう?」
「あ、そうでした!余計濡れるところでしたね・・・すみません。」
「いちいち、細かいことで気にするなよー?ホント凛は、何でも武器に変えるからなぁ~?浸水免れたのは、洗面台に避難させた俺の腰のタオルぐれーだったし。」
「そ、そうでしたね!瑞希お兄ちゃんの・・・・え?」
腰のタオル?
あれ、それって・・・
「さっき・・・・お湯の掛け合いをする前に、僕の頭に乗せたものですよね?」
(瑞希お兄ちゃんのデリケートゾーンを隠してたタオルってことだよね?)
「そうだけど?」
そういいながら、そのタオルで私の顔をふき続ける瑞希お兄ちゃん。
ということは、これすなわち――――――――――――
(関節接触!?)
「ぎゃあああああああ!!それも、だめぇぇぇ!!」
バシャ、バシャ、バシャ、バシャ!!
「わっ!?またかよっ!?なんだなんだ!?」
恥ずかしくて、お湯の中を後ろ歩きで逃げる。
「待てよ、凛!どうしたっていうんだ!?」
ザバ、ザバ、ザバ、ザバ!
これに不思議そうな顔で瑞希お兄ちゃんも追いかけてきた。
「コラ!凛!」
「こ、来ないでください!」
そう言ってはみたけど。
「捕まえた!」
「ああ!?」
背中に壁があたると同時に、彼に手を掴まれた。
つかまる。
「凛。」
つかまった手の先で見たのは、険しい顔の好きな人。
(やばい・・・本当にお湯もしたたるいい男になってる・・・・)
〔★正しいことわざは、『水もしたたる』である★〕


