(今の声って、まさか!?)
ノックと一緒に、耳に届いたのは――――――――
「凛?入ってるよな?」
「わぁあああああ!は、入ってます!」
瑞希お兄ちゃんだ!!
(どういうこと!?なんで、脱衣所に入ってきてるの!?)
あれほど、のぞかないでと言ったのに!?
焦る思いで待機していたら、ガラス越しで彼は言った。
「どうした?いきなり変な声出して?」
「あ、いや!湯船につかる時は、人は変な声出すでしょう!?」
「なんだ?伊織の奴、ちゃんとお湯を入れてやってたんだなー?」
私の返事に感心したように、動く人影。
それを警戒しながら私は聞く。
「ど、どうしたんですか!?なにかご用ですか!?」
「いや、伊織のことだからさ。自分が使った分のお湯を足さないで、風呂から出たんじゃないかと思ってよ。」
「そ、そうだったんですか?大丈夫です!ちゃんとたっぷり入ってます!」
「そうか・・・心配して損したぜ。」
「そ、そうですよぉ~あははは!」
ほがらかな声で言うので、同じような調子で笑う。
誤魔化したのだけれど・・・・
「凛、ちょっと入るぞ。」
「は?」
入る?
その一言で、私の笑い声が止まる。
「どこへ?」
「風呂場。」
聞き返せば、浴室の扉がガタっと揺れた。
ゆれるガラス戸に、ギョッとする。
「え!?入るって、ええ!?」
「え?おい、なんで鍵かけてるんだ?お前、半分病人だって自覚あるか!?」
「ええ!?だ、だめです、入らないで!僕、元気ですから!」
「ばか!風呂場で倒れる可能性あるだろう!?おい、開けろ!」
「だ、だだだだめです!お引き取り下さい!!」
「ここ、俺の家でもあるんだけど!?」
瑞希お兄ちゃんを安心させて一刻も早く立ち去ってもらいたかったので、声を出してお願いする。
「凛、いいから開けろって!なんだってんだ??」
諦めてくれない。
〔★瑞希は食い下がった★〕


