「見てないのか?」
いつもの獅子島さんらしい態度にホッとする。
「すみません、大事な物はとっておく癖がありまして・・・」
「お前、ひとりっ子だろう?」
「え!?な、なんで・・・!?」
「一人っ子に多いのだ。好きな物は最後に取っておく・・・という習性が。」
油断できない!
この人の観察力!
「おそらく中身は、瑞希は凛道に漢道(おとこみち)を学ばせるために教材だ。」
「教材ですか?」
「詳しくは知らんがな。瑞希の期待に応えるためにも、早く中身を確認しておけ!」
「わかりました!帰ったらすぐに、確認しますね!?」
「当然だ。先が思いやられる・・・・。」
(え?)
そうつぶやいた横顔が、口元が笑った気がした。
目をこすってもう一度見て見たけど、いつもの不愛想だった。
「どうした?眠いのか?」
「い、いいえ!なんでもないです・・・」
前を見たまま言う相手に、思わず視線をそらす。
(見間違いだったのかな・・・?笑ったように見えたけど・・・)
手にしたジュースをストローで、ちゅーと吸いながら反対側を見る。
「わぁ・・・・」
車の外は、きれいな夕焼けとなっていた。
「獅子島さん、外が綺麗ですね。」
「明日は晴れるな。」
「熱くなるのは嫌ですね~日焼け止めぬらなきゃ!」
「特に顔にぬれよ。」
「もちろんです!わぁ~車の台数も増えてますね~帰宅ラッシュかな~?」
ジュースを飲みながら、変わりゆく景色を見ながら考える。
家族と車で出かけたのは、いつだっただろう。
確か、小学6年生の時が、最後だったんじゃないかな?
それ以来、どこへも行っていない。
(瑞希お兄ちゃんとはお墓参りで出かけたけど、今度は二人きりで出かけたいな~また、カフェのリサーチというパターンで、二人き~♪・・・・ん?)
ふと、周りの車を見ていて気づく。
「獅子島さん。」
「トイレか?」
「いえ、それは大丈夫です。あの・・・」
気のせいかもしれないと思いながらも聞いた。
「2台後ろの車、ずっとついてきてる気がするんですけど?」
さっきも、その前も見た記憶のある黒い車。
これに獅子島さんは鼻をならしながら言った。
「今頃気づいたのか?」
「ずっと気づいてたんですか!?」
〔★気のせいではなかった★〕


