言われた内容と、話す彼の姿を見て、気づいてしまった。
(ああ・・・そうか、この人は・・・・)
「お前は、『おろか者の真似』はしなくていい。」
(自分を怒ってるんだ・・・)
誰の真似なのか。
ここまでの流れで想像が出来た。
(この人なりに・・・・・・私に、2代目達みたいになってほしくないって思っているのね・・・・?)
そう思えるような重みのある言葉。
(いら立っているいるのではなく、きっと自分を責めているんだ・・・)
確信はないけど、それだとつじつまがあう。
獅子島さんも瑞希お兄ちゃんと同じで、2代目達のことを後悔しているんだ。
それがわかったら、すごく切なくなった。
「凛道、返事は?」
「誓います。」
だから私も、獅子島さんの思いに真面目に答えた。
「絶対に・・・・獅子島さんにも、同じ思いをさせませんから・・・だから・・・・!」
だから。
「・・・・・そんな顔しないでください・・・・・・・!」
私の言葉に、彼が目だけでこちらを見る。
長くはなかったが、今までよりは長く見られた気がした。
数秒のことだったけど、ゆっくりと車が停止した。
「あ・・・信号。」
「赤で走れば、切符をきられるからな。」
ため息交じりに言うと、ハンドルから両手を離す。
「どんな顔か知らんが、運転中に人の体に障るな。」
「え?」
そう言われて気づく、私の手が獅子島さんの服をつまんでいた。
彼の脇腹の側を、ギュッと掴んでいた。
「小さい手だ。」
そう言われた時、ギアを触っていた獅子島さんの手が、私の手をにぎっていた。
「頼りなく見えて、頼もしいということか。」
「え・・・?」
「空腹だ。ドライイブスルーによるぞ。」
それは一瞬のことだった。
信号が変わる前に手を離される。
(この人・・・・・・・)
見つめる横顔を見て思う。
(そんなに怖くない・・・・・・・・・・?)
そう思った時、車がゆっくりと走り出す。
不思議な気分で、しばらく獅子島さんを見ていた。


