真実を言いたいけど、言えない。
(言った瞬間、怖いことが起きそうな予感しかしない・・・)
悔しいが、ここは大人しく従うのが安全・・・!
「それはいい。」
言いなりでうなずいた私に、名誉教授は言った。
「教育現場に関心を持つのは良いことだ。凛君だったかな?せっかく来たんじゃし、わしの授業を見ていきなさい。」
「ええ!?」
「よろしんですか、徳永名誉教授?」
私がギョッとし、獅子島さんがわざとらしく驚きながら聞く。
これにおじいさんは、アゴヒゲをなでながら言った。
「ふぉっ、ふぉっ、ふぉっ!見聞きさせて、育てるのも教育じゃ!」
〔★許可が出た★〕
この発言を受け、周りが騒がしくなる。
「すごーい、よかったね、凛君!」
「徳永名誉教授の授業は、政治家でも聞きたがるんだぜ!?」
獅子島さんの奇跡の友人、江藤さんと成瀬さんが笑顔で言ってくれる。
「そ、そうなんですか?」
「そうよ!受講生以外は受けられないんだから!」
「オープンキャンパスでも聞けないから、貴重だぜ~」
(そうなんだ・・・)
すごいことだけど、望んでない展開に頭がついて行かない。
そんな思いで固まっていたら・・・・
「よかったな凛君?」
「う?」
ポンと、肩を叩かれた。
「徳永名誉教授自らのご厚意だ・・・!」
「し、獅子島さん?」
「もちろん、私と一緒に行くよね・・・・!?」
そう語る眼は、『断ったらぶっ殺す。』と言っていた。
「よ・・・喜んで行かせていただきます・・・・!」
「ははは!嬉しさのあまり震えてるんだね~よしよし~」
プルプルと、震える肩を抱かれる。
ニコニコ顔で言う獅子島さんに、いつもとは違う恐怖を感じる。
(うわぁーん、助けて瑞希お兄ちゃーん!!)
最愛の人に救助を求めるぐらいに。
〔★助けは来ないだろう★〕
満面の笑みで優しく言う獅子島さんのおかげで、震えが止まらなくなる。
精神的にいたぶる相手に、この人はSだと思う。
こうして、羨望と祝福の視線を受けながら、名門大学で初講義を受けた。


