「凛道。お前、今からヒマだな?」
「え!?暇と言うか・・・」
「世間の学生は、テスト前だと言うのに、大した自信だ。」
「そんなことないですよ!瑞希お兄ちゃんを見たら帰って勉強しようと~」
「仕方ない。そこまで言うなら、勉強を教えてやろう。」
「え!?言ってもいませんが、獅子島さんが僕に教える!?」
「だいたい、どこの高校もテスト範囲は同じだ。教えてやろう。」
「あ、いや、お忙しいなら、無理には~」
「不服か?」
「むぎゅ!?な、ないですぅ・・・!」
再び片手で両頬をつぶされる。
とんでもないと言えば、あっさりと手が離れる。
「そこまで拝むなら仕方ない。ついてこい。」
「え!?あ、ああ・・・獅子島さんの部屋ですか?」
「馬鹿者。ガレージだ。」
「え!?意外な場所で勉強しますね!?」
「誰がガレージと言った?車で移動だ。」
「車!?え!?出かけるの!?」
「俺もこれで忙しい。付き添わせてやることに、感謝しろ。」
「えええ!?い、いいです!忙しいなら、いいでー!」
「さっさと来い。」
ガッと首根っこを掴まれて持ち上げられる。
「ちょっとー!?」
「小さいので運びやすい。」
「どこ連れてく気ですか!?獅子島さん!し、獅子島さーん!」
じたばた暴れるけど逃げれない。
私の問いに、目だけでこちらを見ながら言った。
「なぁに、良い場所だ・・・・!」
無表情のクールフェイスがにたりと笑う。
それで私の気持ちは決まった。
「いやあああああああ!だ、誰か助けて!殺されるぅ!瑞希お兄ちーゃん!」
「お前を殺して得をするなら、とっくに寿命を止めている。静かについて来い。」
「ついて来いって言うか、これ連れ去り状態じゃないですか!?ああああ!怖い、怖いよ!やっぱり、こわーい!瑞希お兄ちゃん!瑞希お兄ちゃぁぁぁぁ――――――・・・ん・・・・!!」
説得力のない言葉に、好きな人の名を呼ぶ。
無駄だと、頭の片隅でわかっていたけど助けを求める。
来てくれることを期待したけど、軌跡は起きなかった。
獅子島さんによってガレージへと続く扉が開き、無情にも閉まる。
その音を聞きながら、私も終わったと思った。
〔★凛は連れさらわれた★〕


