意味深に微笑む匠に怯むことなく私は厳しい表情を崩さない。
飲み込まれるな、その瞳に。
見つめあい、というには違和感があるぐらいに私たちの間にはバチバチしたなにかが見えてきそうな勢いで睨みあっていた。
次の電車のアナウンスがホームに響く。
これに乗る。絶対乗る!
もう邪魔させないんだから。
そう強く決めて私は一歩距離をつめた。
さぁ、鞄返してもらおうか。
「簡単に懐かない奴ほど可愛くて構いたくなるもんだよなぁ。……猫とか犬とかみたいに」
「は?どっちも飼ってないから知らない。ねぇ、鞄」
早く返して、と手を向ける。
この俺様な王様を手懐けられる人なんているのか。
いたら会ってみたい。
そして、従順な匠を見てみたい気もする。
人に指図されることを嫌い、自分の言うことは絶対だなんて言い切るぐらいだからね。



