私の声は聞こえてるはずなのに完全無視を貫く匠は開いた扉に向かって歩いていく。
簡単に振りほどけない。
力強いなあっ、こいつ…っ!
掴まれた手を離してもらえず、引っ張られるがままに私も降りるはめに。
途中下車なんてしたことないから、ここどこ状態だし。
なんで私まで降りなきゃいけないの、そうイライラする気持ちをぶつけなきゃ気が済まない。
この男に。
「なんで私まで降りないといけないの!」
「すぐに次の電車来んだから騒ぐなよ、うるせえな」
「鞄返せっ」
ベンチに座る匠の前に立つと、ちょうど足を組んだ匠の靴の先が…
すね部分に当たって思わずうめき声が。
〜っいたい…!
偶然?
わざと?
わざとだったら殴ってやる。
痛さに顔を歪めたまま目の前の男に視線を向けた。
「……匠なんて、嫌い。好きになんてなるわけがないっ!」
「へぇ?」



