「テスト終わったからって気が緩んでんじゃないの?」
「陸いたーい!もうー…そんなことないよ」
やりとりを見ていると柳瀬くんがお兄ちゃんで志麻くんが弟のようだった。
さっきのぎこちなさはどこへ行ったのやら、いつものヘラっとした笑顔を見せる志麻くん。
…家族のこととか聞いちゃまずかったかな。
そういう話とかあまりしたがらない人もいるもんね。
うん、気をつけなきゃだ。
志麻くんが親しみやすい人柄なのでついついいろいろ聞いちゃって、申し訳ないです…。
「わっ」
「おっと。もー、本当にドジっ子だよねユズ!目の前で階段につまずかれるこっちの気持ちにもなってー?」
ごめん、と笑って返そうと思ったその時、別の声が聞こえてきた。
「アホだな。階段ぐらいでつまずくとか足も上げられねぇなんて可哀想なアホだ」



