「嫌がる女、自分から避ける女、初めてだな」




鋭い目に見つめられ、呼吸が止まる。



抑揚のない声には感情が込められていない。




「……じゃ、俺は日誌出して帰るから。お先」




そうしてください。


早く帰れ帰れ、そう思いながら小さく頷く。




「窓閉め、あと電気も忘れずに」


「わ、わかってる」


「窓閉め、あと電気も」


「わかったよ! なんで2回言うの」


「だってアホだから」




2回言わねえと忘れんだろ?と澄まし顔で続ける匠に私は勢い良く立ち上がった。



バンっと、


勢いをつけるため、怒りをぶつけるため、机に手を叩きつけたのが今さらジンジン痛むけど…



絶対わらわれるから、顔に出さない!



ううっ、でもやっぱ痛ーい!