「明日、クラスの出し物決めるから柚奈もなにか考えてこいよ」
「あ、うん…。私の名前……」
「あ? 柚奈で合ってんだろ」
そんなサラッと呼ばれると特別感もなにも感じなくなった。
ああ、そうだよね。
この男にとって女の子を下の名前で呼ぶことなんて特別に緊張することでもないんだろう。
「志麻の時もそうだったけど、名前呼ばれたぐらいで反応しすぎじゃね?」
「う、うるさいなっ! 呼び慣れてないからちょっとびっくりしただけ!」
「へえ?」
顔だけ後ろに振り向いてた奴は私の反応がおもしろかったのか、体ごとこっちに向けると同時に手も伸びてきて。
ぎしっと椅子の軋む音が小さく響く。
「っ…ちょっと!」
なに!?
頰に触れられる前に反射的に払いのけた。



