「いや、まだ家には帰ってねぇけど……は?今からかよ……了解。じゃあこれから戻る」
会話が終了したようで、ちらっと見てみると鞄を肩にかけて立ち上がる匠がいた。
「先帰る」
「あ、はい…お気をつけて」
急なことに戸惑うような、ほっとしてるような気持ちの自分。
会話の途中だったんだけど…。
さっき、何を言いかけていたんだろう。
そして、もう一つ。
電話一本で呼び出されての王様がおとなしく従うって、一体どんな相手なのかな。
「匠もしかして今もう彼女いる?」
「いねぇよ。候補なら4、5人いる」
「……最低…」
相変わらずな調子で来られるから今さら驚くこともなく、いつもの反応を返した。
私のあとの彼女はいないのか。
まぁ、あの王様にとって恋愛感情よりも大事なのは暇つぶしになるかなんだろうね。
うっ…
自分で言ってて虚しくなる。