王様の命令は?


駆け足で追いかけ、また横に並ぶと私をちらっと確認するように視線を向けてきた。



ドキッと小さく反応した胸の音を私はもう無視できない。




「ねぇ、今の匠先輩だったよね!?」


「あいっかわらず超イケメン」




すれ違った女の子たちは匠の顔を見て、楽しそうにはしゃいでいた。



ひときわ目立つ存在で、顔がものすごく整っているのは認める。



人の事を見下し、口を開けばムカつくような事しか言わない。



自分に問いたい。


なんでこんな王様に惹かれてるのか。



性格は決して良くはないし、口は悪いけど、私が倒れた時も久河さんがケガをしてしまった時もちゃんと、助けてくれた。


悪い奴ではないのかも。



少し優しくされてコロッと落ちちゃって。


我ながら単純な性格をしているなと思う……。



そう。

単純だからさ、芽生えた感情に素直になってみようと思ったの。



無言の変な緊張感が流れている中、駅に向かう足取りはゆっくりだった。