その時、視界の端に何かが映ったかと思えばすごい力で肩を引き寄せられ、体の向きが変わった。 えっ、何事……! さっきまで見えていた歩道や草木は消えて、目の前は白いシャツで視界いっぱいに。 チリンチリンと鈴を鳴らして遠ざかっていく音。 すぐ横を自転車が通っていったのか…。 もう9月になって夕方とはいえ、日が当たるとまだまだ暑さを感じる。 そして、自分以外の体温をこんなに近くに感じて暑いはずなのに。 早く離れたほうがいいのに。 触れていた腕を掴む手に自然と力が入っていく。