「……さっき、聞いてたでしょ」
いつからいたのか分からなかったぐらいだから、きっと全部聞いてたと思うんだ。
この男はこっちが聞きたいこと言わないと答えないから。
表情から考えを読み取るほど理解者じゃないから。
もう、言ってしまえ。
「あぁ、聞こえてきただけだ」
「大好きで大切な子に振られた理由、聞いてどう思った?」
「別に。もう終わった話してなんか意味あんのかよ」
「……久河さんは終わってないみたいだけど…」
「あ?」
ちょうど私が下を向いてしまったからハッキリと言葉に聞こえなかったらしい。
見なくても、どんな顔なのかだいたい予想できる。
眉間を寄せてる険しい顔が向けられてるんだろうな。



