匠がもう支度終わったみたいで、さっさと教室を出て行こうとする姿に柳瀬くんが反応する。




「あっ、匠待てよー! 千紘と柚奈ちゃんも早くおいかけよ」




催促されてすぐに椅子から立ち上がった。



出る直前に久河さんを見ると目があって、何か言いたそうな顔をしていた事に不思議に思ったけど、足を止めはしなかった。



なんだろう?


気のせい、かな。



下駄箱までやってきたのに、私はまだ頭の中でぐるぐる考えていた。




「……千紘ごめん!私忘れ物したから先に行っててくれる? 走れば追いつくから」



「待ってるよここで」



「千紘1人じゃ柳瀬くん心配するから、ね?」



「うーん…わかった。のんびり歩いてるから早くきてね」