「久河さん、足はもう大丈夫?」
夏休みが明けてから話すことがなかったので、気になっていた事を聞いた。
「はい、もう全然。あの時は見つけてくれてありがとうございました。匠くんも、鞄まで届けてくれてありがとうございました」
ゆっくりと落ち着いた話し方で、丁寧な子だなと感心してしまう。
おとなしくて暗い雰囲気だと誰かが言っていたけど、私はそう思わない。
見え方が違う?
見ようとしないから?
どんな人にだって良さはあるもの。
私が改めてそう思えるようになったと実感できたのは、たぶん王様と関わってからかもしれない。
「なぁに見とれてんの、柚奈。見つめられすぎて久河さんとまどってるよ」
「え、あ…ごめんなさい。大きなケガとかじゃなくて本当によかった!」
千紘に声をかけられてハッとする。
無意識に見つめちゃってた…、やばい。