素直な気持ちを打ち明ける。
私と匠は今なんの関係もなくて、繋がりもない。
のんびりしていたら完全に終わり。
主従関係のままでいてそこから発展させればよかった、なんて絶対に後悔したくないから。
「あ、匠くんだ」
千紘が遠くになにかを見つけたようで。
その名前にバッと振り返る。
あれ…、匠だけ? 久河さんは?
「久河の鞄まだ教室にあるみたいだから持ってってやって」
歩きながら話してるその声がどんどん近づいてくる。
でも、どうやら視線は私に向けられてはいないみたい……?
「……鞄持ってきてだってさ、柚奈。久河さんどうかしたの?」
「あ…うん、さっきケガしちゃったみたいで。匠が保健室連れてった」
「え〜大丈夫なの? 早く鞄持って行ってあげないとね」