匠の言葉に私も久河さんも視線をあげた。
すぐにふわりと気配が近くなったかと思えば、すぐに離れて行く。
それは一瞬だった。
一瞬すぎて、頭の反応が遅れる。
私の前にはもう誰の姿もなくて。
匠が連れってっちゃった…
膝裏に手を回し、ひょいっと軽々人を持ち上げてしまう匠にも驚き。
なんの迷いもないその横顔にも驚いた。
あの王様が人助けなんて……。
そう。
ただびっくりしてるだけ。
「ちょっと、柚奈さん? なにしてるの、こんなとこにしゃがみこんで〜。教室戻ってこないから探しにきちゃったよ〜」
「千紘……」
「匠くんは? 先に帰っちゃったの? さっき、鞄持って出てったけど」



