ガラッと扉を開けて、中に入るとそこは天国でしかなかった。
うひゃー…
涼しすぎるよ、最高だよ!
生き返りますわ。
「おかえり〜! え、どうしたの。柚奈汗だくじゃない? まさか志麻くんと追いかけっこでもしたの?」
「追いかけっこって千紘……まぁでもそれに近い、かも? ちょっと走ったらこうなっちゃった」
千紘の隣にストンと腰をおろす。
あー、もうしばらく動きたくない。
涼しすぎるこの最高な空間から出れるのか。
帰るのが億劫になっちゃうなー。
今はまだ考えたくないね。
「おっせぇな。どこまで買いに行ってんだよ」
「あ、匠の」
不機嫌そうなその声を聞いて自分の手に持っていたものを思い出す。
渡しかけて、手を引っ込めた。
…あ、ちょっと待って。
「匠。あのさ、話があるんだけど」