「……教室戻ったら匠に言う。言うから私!そうと決まればほら急ごっ、志麻くん!」



「ちょっ、ユズ!? 待ってよ! あーっ、もー、急に走り出すとか小っさい子どもかよ……」




あの王様の元を目指して走る、走る。








ーー静けさが漂うひんやりとした空間に戻って来た。




下駄箱には人の姿がなく、校舎内には誰もいないんじゃないかって思わせる。



ま、みんなきっと冷房の効いた教室に閉じこもってるだけだと思うけど。