「そんな必死に言い訳するぐらいには匠のこと好きになったんだね。いやー、少し前のユズからは考えられないね」
ふっと頰を緩めるその顔を見て私は「そうだね」と同じように表情が緩む。
好きになんてなるわけがないと思ってたから余計に戸惑って、混乱して。
ぐるぐる考えて、考えて。
ずーっと頭の中を占めてる。
人を好きになるって理屈じゃ説明できないこともあると、そう言われて妙に素直に聞き受け入れた私。
新しく生まれた感情
どうせなら大事に向き合ってみたい。
そう。
だから私……
好きだってこと、認める。
認めてあげるよ、王様。
「志麻くん、私あの王様のこと好きだと思う。だから今の関係やめる。別れる」
「えっ」
「だってあいつ手ぇ早いんでしょ? 彼女はヤレればいいんだもんね? 私そんなの無理。お断り!」
「もうー、ユズー! 女の子なんだからそういうこと大声で言わない方がいいよ」