「うっ……今さっき志麻くんから聞いた」



「わたしも陸から聞いて知ったんだけどね? 1年生の時にちょっと付き合ってたらしいよ。あの匠くんが自分からいったから陸も志麻くんも珍しがってたこと覚えてる」



へぇあの匠が、自分から…ね?



……少し胸がチクリと痛む。




1年生の時、か。



白岡匠の存在はもちろん知っていたけど、噂話とかに興味持てずそういう話に疎い私。



もしかしてどこかで耳にしていたかもしれないけど、気に留めないと記憶にも残らないもの。




「フられちゃったんだって、匠くんが」



「あいつが!?」



「柚奈声おっきい〜」




しー、と人差し指を自分の口に当てて静かにせよと注意する千紘。


うっ…ごめんなさい。



今去ったばかりの久河さんに会話が聞こえてないかと視線を向けるけど、もう姿はどこにもなくて。




よかったー…

少し安心しちゃうよね。