「押すんだよ、アホ」 声が、体温が、すべてが近い。 背の高い匠が扉に手をつくと、ゆっくりと開かれた。 Yシャツ越しの体温を背中に感じて、密着してると余計に意識するから後ろに振り向けない。 いつもなら強気な態度でいられたはずなのに。 私は前に少しも進めず、立ち止まったまま。 「入れよ」 「や、やっぱいい。てか、この部屋に用ないし」 首を横に振る。 まともに目も合わせられず、視線をさまよわせちゃう。