肩から滑り落ちた髪を掴んでくれたその人はそのまま耳にかけてくれて、おまけに整えるように髪まで撫でてくれた。



彼女でもなんでもないクラスメイトにそれって……大丈夫なの?


あまりにも自然すぎて、びっくり。



妹がいる男子は違うなぁー…!



「鳴海、髪やわらけー。長いね、いつから伸ばしてんの?」



「え、まじで? 俺も触りたい」



「なっ、何言って……」




おいおいおいおい。


そんな急に距離縮めてこないでほしいんですが!



髪を触るぐらい減るものじゃないからとか言われそうだけど、そういう問題じゃなくて!


なにこの状況ーー……っ!




「あ、あの皆さん!」




うろたえていた私を救い出してくれたのは久河さんの声だった。



呼び出しから戻ってきて、その手にはなにかプリントを持っていて、小さな体を震わせて扉の前に立っている。