さよならはまたあとで

葛城は私の言葉に、いつもの大笑いで答えてくれた。


「そりゃいるよ。俺だって人なんだからさ。
誰だってあるもんだよ、そういうのって」


彼は肩をすくめてそう言った。


「そういえばさ、今度、律と優恵ちゃんと俺の三人で勉強会しない?ほら、模試が近いだろ?」


葛城はそういえばとばかりに私の方を見た。


「律太君がいるなら」


と、私は条件付きで了承した。
私は三人がいいのだ。


「実はさ、兄ちゃんが帰ってきてるんだよ」


葛城は壁に寄りかかる。
クラスメイトの笑い声が、やけにうるさく感じた。


「お兄さん、いるの?」


「いるよ。大学生。県外の大学に通ってて、家でちゃってるんだけど…一応教師志望。塾でもバイトしてるみたいだし、せっかくだから勉強教えてやるよって、昨日言われた」


「いいなぁ」


私は葛城が羨ましかった。
私は兄弟も、姉妹もいない。
だから、そういうのにものすごい憧れがあるのだ。


「よくはないよ、うるさいし、勉強しろって。」


葛城はちょっぴり呆れた顔で笑っていた。


私たちは明日、律太も交えて細かい日程を決める約束をした。

それから間も無くして、私は渚と七瀬に呼ばれて葛城と別れた。